最近のカップラーメンと言えば、色々と地域の名前が付いたラーメンが花盛りである。特に和歌山ラーメンがブームだ。しかし、その一方で短期間で消え去る商品が多いのも事実である。元祖カップヌードルは発売からしばらくのタイミングで、3製品が出揃い、「カップヌードル3兄弟」というテレビCMがうたれていた。長男はオリジナルのヌードル。次男はカレー。三男は天そばであった。自分が三男だったこともあり、中でも天そばを好んで食べていた記憶がある。天そばというよりは、たぬきそばと言うのが的を得ていたと思う。しかし、天そばがあったことなど知らない人のほうが多いように、しばらく後にこの天そばは市場から消えてしまった。
カップヌードルは発売時期に100円という、他の袋麺製品の約2倍というかなり強気の値段で登場した。日曜日の午後に放送される「ヤング・オー・オー」のスポンサーが日清食品で、会場の入場者にカップヌードル、しかも三個入りで取っ手付きパッケージのものが、プレゼントされていた。テレビの向こうのカップヌードルは未だ食せぬ夢の食べ物だった。噂に聞いた黄色いお湯の出る自動販売機にはお目にかかれなかったが、何とか初めてカップヌードルを食する瞬間が来た。確か小学1年生頃だったと思う。最初の感想は「チキンラーメンと同じ味」だった。
カップラーメンの凄さはまさにそのカップにある。そのカップには3つの機能があり、まず第1はパッケージとしての機能。2つ目は調理器として。そして、3つ目は食器としての機能である。別にそこまで意識して開発したわけではないだろうが、袋麺と大きく異なるところだ。それと下に行くほど狭くなるカップに麺が上げ底で入れられているものミソである。上げ底だと何だか損をした様な気がするかもしれないが、あの部分がないと膨張した麺が器からはみ出したり、混ぜられなくなってしまう。柔らかくなった麺が次第に底に落ちて行く具合が微妙らしい。その様子が気になる人は、限定でスケルトンカップのカップヌードルが販売されているので、眺めてみると良いだろう。
※日清食品の社史によると、カップヌードルの発売は昭和46年で、関西圏でも発売したのは翌年らしい。私が初めて食したのはさらに翌年の48年ということになる。また、社史によるとカレーよりも天そばが先に販売されていた。