コラムのデパート 秀コラム

第1263話 ■ドラマと原作本

 今クールのドラマとそれにまつわる話を少々。かつては週に10本近くのドラマをビデオに録りながら見続けていたが、最近はそんな時間も心理的な余裕もなくなってしまった。先クールのあるドラマの終わり3回分が未視聴でまだ残ったままで、これを見るべきかどうか悩んでいる。3回分見るくらいの時間はどうにでもなるが、見終わった後に「つまんなかった」となってしまいそうな気がしてブレーキが掛かっている。一方で結末が分からず終いの不快感もある。

 今クールは5本見ているようだ。その中で「神はサイコロを振らない」と「アンフェア」は今後の展開が気になるドラマである。奇しくもこの2つは本屋で原作本を文庫で見つけたので買って読んでみた。「サイコロ」は10年前に突然消えた旅客機が10年後の今にそのままの姿で飛行場に現れたところから話が始まる。この旅客機の再出現を量子力学の立場から旅客機失踪直後から予測していた学者がいて、しかも数日後にはその旅客機と乗員・乗務員がまた忽然と消えてしまうことが予想されている。もうこれだけでわくわくである。何故10年後に旅客機が現れたかはさておき、本当に再びこれらが消えてしまうのか気になってしょうがない。

 早速原作本を読んでみた。やや厚い。その大半は乗客が10年後に現れた数日の様子について書かれている。登場人物が多すぎ、話がいろいろと飛ぶ。ところがそのほとんどは全体のストーリーや設定からするとどうでも良いようなことでしかない。おまけにこの旅客機の再出現とまた消えるという予想だけで十分ストーリーは持つはずなのに、わざわざ乗客絡みで大きな事件を2つも登場させる。結局山場が何だったのか曖昧なまま、そして何ともしょうもないエンディングを迎えた。正直、読んで損した(時間も金も)。ドラマは面白いけど。

 一方、「アンフェア」は篠原涼子が警視庁捜査一課検挙率ナンバーワンの女性刑事を演じる連続殺人のドラマである。最初は1話完結ものだと思っていたが、そうではなく、つづきものだった。これまた「推理小説」という原作本を読んでみた。今度は前よりもやや薄い。動機やトリックなどなく、推理小説にしては極めて乱暴で粗雑な出来だ。そして、原作本の結末はドラマの4回分の放送までしかなかった。原作では容疑者射殺にて解決したであろうものが、ドラマでは引き続き誘拐事件を起こす形で続いている。本当の犯人は誰なのか?。

 今回紹介した2つのドラマと原作本はいずれも原作はつまんないけど、ドラマはおもしろい。

(秀)

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