連日で忠臣蔵をテーマに書いているが、最終的な謎である「何故日本人はこんなにも忠臣蔵が好きなのか」の回答を出すには私自身、もうしばらく時間が必要な気がする。NHK「元禄繚乱」の討入りシーンを見ながらじっくり考えて、12月14日頃にその答を披露するとして、一旦今回で忠臣蔵の話題を終えることにしよう。
これまでに忠臣蔵は実に多くの映画やドラマになっている。ちょっと前の忠臣蔵イヤーは’94年だった。このとき、同じ時期に2本の映画が作られ、公開されている。一つは東宝の「四十七人の刺客」で、高倉健主演で作られ、宮沢りえも出ていた。ビデオで見たけど、高倉健が昼行灯になりきれるわけもなく、宮沢りえ(妾役)との関係もよそよそしく、そんな出来の作品だった。そして、もう一つは松竹の「忠臣蔵外伝 四谷怪談」で、これは松竹の100周年記念作として作られた。この作品は佐藤浩市主演で、主演女優でお岩を演じたのは高岡早紀であった。その名の通り、忠臣蔵+四谷怪談の話である。この2つをくっつけるとは独自の発想の様な気がするが、そもそもは当時の芝居小屋で忠臣蔵と四谷怪談は同時上演されていたものらしい。今風に言えば 「C/W(Coupling With)」の関係というわけだ。
高倉健主演や松竹100周年という割にはどちらも興行的に言えば芳しくなかった。その証拠として、「外伝」の方を映画館で見たときの話。独りぼっちだった。一緒に行ってくれる人がいなかったという意味ではなく、映画館の観客が自分一人だったのである。時間ギリギリに入館するとそれを待っていたか様に映写機が回りだした。お盆休みに帰省したときの話だ。もちろんしばらくしてその映画館は潰れてしまっていた。映画の出来としてはなかなか面白かったのだが。