「一番好きな(音楽)アルバムは何ですか?」と聞かれると、私は大滝詠一の「ロングバケーション」と答える。私が中学3年のときにアナログのLPレコードとして手にし、まさに多感な時期に何度も聞いた。私がちゃんと音楽を聴くようになったきっかけの1枚だとも言える。そして今もCDで持っている。
当時は最初の曲である「君は天然色」がもっとも好きな曲だったが、その後は「雨のウェンズデイ」を何度も聞き、最近は「スピーチ・バルーン」が好きでよく聞いている。いつでも耳にできるようにウォークマンに曲データを保存して持ち歩いている。
さて、このアルバムは大滝詠一がレコード会社の移籍等でオリジナルアルバムとしては3年ぶりにリリースしたもので、本人においても初の大ヒットアルバムとなった。アルバムタイトルの「ロングバケーション」が3年というブランクを表しているなどと言われていたが、その後のオリジナルアルバム「EACH TIME」にも3年間のブランクがあった。この間に「ナイアガラトライアングルVOL2」もあったが。
「ロングバケーション」での成功があり、その後の初オリジナルアルバムである「EACH TIME」には非常に多くの関心が集まった。しかし、楽曲的には遠く「ロングバケーション」におよんでいないと私は評価している。セールス的にもそうだったはず。
結局、大滝詠一は「ロングバケーション」を頂点として、未だそれを上回るアルバムをリリースできないでいる。そもそも「ロングバケーション」が神がかりで奇跡のアルバムとでも呼ぶべきものなのか?。大滝詠一の歌声を聴くと時間が80年代のまま止まっているような雰囲気になる。「ロングバケーション」。今もまだその休暇が続いているのだとすると何とも意味深なネーミングだったわけだ。あのリリースから早いものでもう27年が経った。
(秀)