初めて買ってもらったレコードは「タイガーマスク」の主題歌のそれ。ねだって買ってもらったのかどうかも覚えていない。そして、自分で初めて買ったレコードは渡辺真知子の「かもめが翔んだ日」だったと思う(「迷い道」をその前に買ったのか、後に買ったのかでちょっと迷っている)。シングルレコードは500円の時代。それから数年後に600円を経て、700円になって、このあたりでレコードはシングルCDへと移行してしまったのではないかと記憶している。
シングルCDは8センチサイズで、千円だった。従来のシングルレコードの両面の2曲に加えて、それらのカラオケが収録されているのがお決まりで、レコードと比べての値頃感があったのかどうかは微妙な感じだった。ちょうどその頃あたりからレンタルCDが登場し、録音するメディアもカセットテープから、MDへと移行していった。あくまでもこれは自分の場合。
シングルCDのレンタル代が1枚百円だった。特にディスクが欲しい訳でなく、ディスクはあくまでも入れ物。一旦、アナログ変換を経るものの、MDに高音質でダビングできるので、それで十分だった。それがやがて、メモリーへデジタルデータとして記録するようになった。
実のところ、多くの人々はそれほど高音質を求めているわけではなく、昔のようにノイズがあるわけでなく、多少圧縮等で音質が劣化していたとしても、それを無料で入手できるのならそちらを支持するようになっている。そんな形でCDは売れないし、データ形式のダウンロードにしても、コピーが出まわったりしている。
ちなみにシングル相当の楽曲をダウンロード購入する費用は250円である。方や、レンタルすればほぼ百円。但し、借りに行って、録音して、また返しに行く手間が発生する。数が多かったり、他のレンタル品を眺めたりするのも楽しければ良いが、一曲のためでは割に合わない。一方、新曲でない場合は動画サイトで視聴したり、音だけを取り出して録音することもできたりする。
単に250円が高いか安いかではなく、CDや曲が売れないという事態。ネットは全て無料、という悪しき価値観の影響だろう。そしてここに来て、月額固定料金での聴き放題サービスも登場。ディスクを所有することなく、音楽データを所有することもなく、好きなときに好きなところで聴くスタイル。果たして、このスタイルに自分たちの世代も馴染めるだろうか?。
そして、このような動きは音楽データのみならず、きっと動画コンテンツでも同じことが起きそうな気がしている。
(秀)