たまに、そう、年に数えるほどしか利用しないそのガソリンスタンドが、いつの間にかセルフ方式に改装されていた。それ以前に洗車がセルフ&ドライブスルー方式の60秒洗車で、しかも料金も安いとあって、ガソリンは入れなくても洗車だけには利用していた。自分で拭き上げるにしても水洗い200円、ワックス洗車400円は魅力である(最初はそれぞれ、100円、200円だった)。洗車場ではこの倍は掛かってしまう。乗ったまま、じっと我慢の60秒。数台並んでいても、それほど苦にはならない。
そしてついに、このスタンドは洗車だけでなく、給油もセルフ方式になってしまった。消防法の改正でセルフスタンドが可能なことは、学生時代にバイトをしていたこともあり、知ってはいたが実物に遭遇したのは初めてのことだ。仕組はこんな感じである。指定位置に車を止め、給油口を開いて車を降りる。給油口のキャップを開け、給油機の3本のノズルから給油するノズルを選び、ボタンを押す。カウンタがリセットされたのを確認して、ノズルを給油機から取り外し、車の給油口に入れ、ノズルのレバーを握れば給油が開始される。3本のノズルとはハイオク、レギュラー、軽油の3本である。ノズルを取り外す前に、数量の指定(例えば20リッター)や金額の指定も可能だ。
文字で書いてしまえばこれだけであるが、かつてバイトをしていて、その約2年半の間に通算150キロリッターは給油したであろう私でも、セルフスタンドは初めてのため、その操作の順番で迷ってしまった。改装後間もないため、各給油機に人が張り付いていて、丁寧に操作を教えてくれる。給油が終わると事務所の方で会計を済ませることになっている。セルフ方式だからか改装セールのせいなのか、値段はリッターあたり5円は安かったが、こんな感じで人を配置しておくぐらいならその人達が給油した方が断然効率的だ。こう人が配置できるのも、ここしばらくのことだろうが。
しかし、セルフスタンドのメリットは何であろうか?。給油機1台に対し、ノズル数が3本と増えることからすれば設備の面では明らかにコスト高に間違いない。給油時間も長くなるため、回転率は悪くなる。頼みの綱は人件費の圧縮ということだが、安さのために人を削って、安全性が犠牲になってしまっては元も子もない。くわえタバコで給油をする人が現れやしないかと心配で仕方がない。こんな人は注意してもなかなか聞いてくれる人でない場合が多いが、引火しようものなら、被害はその人だけにとどまらない。そんなときは逃げるしかない。油を売っている暇などない。