台風が来るとなると、それは大変なことだった。何故だかそわそわしてしまう。映画「台風クラブ」はそんな少年少女達の気持ちをベースに作られている。田舎だったせいもあり、子供の頃は頻繁に冠水していたし、停電の回数も多かった。いよいよ今夜上陸、となる下校時には、翌日の朝にNHKのラジオ放送を聞くように校内放送が流れた。半信半疑で翌朝ラジオを聞くと「○○市の小中学校は本日臨時休校です」とアナウンスが流れた。さすがにこれではいくら学校が好きでも学校にたどり着くのは困難であろう。家の周りも数ヶ所で冠水している。きっと運動場も水没しているに違いない。飼育小屋のウサギは大丈夫かな?。
運良く雨があがると、パトロールの開始である。友達数人と冠水が予想されるところの様子を見に行く。自転車でそのでかい水たまりを走り抜けようという魂胆だ。中にはペダルの高さまで冠水して、道路と川の境目が分からないところもある。家に戻って、ローカル放送で街の被害の様子が放送されるのを見て、自分が見て来たところが放送されるとうれしいし、「今度はここを見に行ってみよう」と思ったりする。
台風の報道にはおきまりのパターンがある。街の中では、おちょこになった傘、どっかの港で暴風雨に耐えながらレポートをしてくるカッパ姿のレポーター。これに南国となるとフェニックスの木が揺れている絵が加わる。続いて、交通機関のそれぞれが映し出される。ところで不思議なことがる、台風に限らず地震などでも避難所生活の映像がテレビで映し出される。エアコンどころか各人のプライベートもない状態で、学校の体育館などに押し込まれている人々には何とも気の毒である。取材のカメラとなると、こうこうとライトを付けて人々の感情を逆撫でさせることもあるだろう。ところが、取材のカメラが避難所に来るのがそれほど非常識な時間帯だとは思えない。何のに何故か避難所の人々は皆、ゴロゴロと寝転がっている。人は不安に陥ると、寝るしかないのだろうか?。