冬の星座というとやはりオリオン座であろう。今時分となると会社帰りに南の空を見上げるとオリオン座はかなり西の方に傾いてしまっている。冬の銭湯帰り、冷たい空気の中、火照った体でよく見上げたもんだ。オリオン座はさそり座を恐れてさそり座が沈んでから現れるというストーリーになっているらしい。リゲルとベテルギュウスという星の名前は覚えているが、あいにくどっちがどっちだったかは忘れてしまった。
しかし不思議なものである。今見上げている星が輝いて見えるのは、ずっと前、それこそ中には何万年前の光が今頃ようやく地球に届いている場合があったり。ひょっとしたらその星はもう無くなってしまってるのかもしれないし。頭の中で知識としては記憶する事はできるが、理解したというにはあまりにも実感が伴わない。
そして、星座というのは実に発想が平面的なものだ。天が平面でそこに平面的に星が存在するという前提で星と星を線で結んでしまっている。しかし、一つの同じ星座の中にある隣同士の星でさえ、地球との距離はまちまちである。頭の中で何とかこれを立体的に描いてイメージできたとしよう。そうなると、星座なんか意味もないものに感じられてしまう。
ちょっと夢のない話をしてしまった。科学は無情なものである。そして、世の中こんな感じの見せかけや錯覚が結構多いのではないかと思えてきたりする。星空を見上げながら、頭の中で一生懸命、三次元化した宇宙を描いてみるのは、現実を正しく見るための訓練だったりする。
(秀)