「はーい、それでは教科書しまって。これからテストを行う」。「え~っ!!!」。「日頃からちゃんと復習していればできるはずだ」。ざっと、こういうのが正しい抜き打ちテストの作法である。抜き打ちとは概ねこうである。持ち物検査も強制捜査も抜き打ちだから効果がある。これが事前に分かっていたり、ましてや天下の大新聞に「抜き打ち」なんてことが出ては全く意味がない。
外務省機密費流用は逮捕された松尾前室長の事件の他に、米国駐在のデンバー総領事が家族の食材費などへ機密費を流用していた疑惑として、新たな事件へと展開しそうである。一部マスコミでは、総領事の妻が私的なパーティの費用を外交機密費から賄っていた、と報じている。これが事実とするならば流用と言うより、横領と言うのが的確であろう。
早速、外務省は査察担当大使を派遣し、疑惑の総領事より事情を聞くらしいが、このことを朝日新聞は「機密費詐取事件を受けた外務省改革で新設された『抜き打ち査察』の第1号となる」と報じた。さあ、みなさん、ご一緒に。「おい、おい、どこが抜き打ちなんだよ!?」。
前外務大臣の河野洋平は前回の事件の際に盛んに「(松尾)個人の犯行」と釈明していたが、彼がそのような犯行を犯すにはそれ相当の組織的な下地があったと考えるのが、一般的だろう。今回の総領事の妻もそんな周りの環境に合わせただけで、罪悪感などさらさらなく、今となって慌てているに違いない。そして、国民は今回の件も氷山の一角でしかないと思っている。
外務省は査察の結果を受けて総領事の国家公務員法上の処分や更迭を含め、対応を検討するらしいが、これは明らかな犯罪である。田中外務大臣には、今回の件だけでなく、調査を徹底的に進めてもらい、出てきた犯罪者達には、少なくとも、免職により退職金にて償ってもらいたいものだ。
(秀)