2001年締めくくりのこの時期、当世のコラムニストして書き残しておかねばならないことがある。それは「インパク」。たぶん皆さんはもう忘れているだろうが、昨年の大晦日にこのイベントはスタートした。そして、もっと忘れているだろうが、このときのオープニングセレモニーに出席していた総理大臣は森総理だった。
たしか、「IT普及の起爆剤」めいた目的で時の政府を挙げて盛り上げていたはず。糸井重里氏や荒俣宏氏などの著名人をリレーで編集長に据えるなど、当初は話題も多かった。コンセプトも決して悪くなかったように思える。ところが総理とともにこのイベントの担当大臣だった堺屋太一氏が内閣から外れたころからインパクのことなんか周りに人々は忘れてしまったかのようだった。この手の話はよくある。2000円札の不運も小渕さんの死と無関係ではなかったと思える。そもそも漠然、混沌としたカオスの世界であるインターネットに一貫したテーマを持たせようとしたのが良くなかったような気がする。東京都はこれを理由に参加を拒絶した。
いよいよこのイベントも今年一杯で終了する。これまで四半期ごとに優秀なサイトなどの表彰が行われていたようで、最終四半期と通年の表彰式も先ごろ小泉首相参加の下、行われていた。関係者はそれぞれ自画自賛の挨拶をしたようで、堺屋氏の弁を借りれば「予想以上の効果」とある。いったいどんな予想をして、実際にはどんな効果があったのだろうね。率直なところ、このインパクの効果とは何だったのだろうか?。この1年でADSLをはじめとしたブロードバンド環境は大きく進展したが、それは別にインパクの効果によるものではない。インパクに貢献したした人を表彰するぐらいなら、ADSLの普及に貢献した孫正義氏を表彰すべきだと私は思う。いろいろと問題は多いけど。
サイトのページ数やアクセス数だけでそのサイトの良し悪しを判断できるものではないが、アクセスとしては検索エンジンやプロバイダーのポータルサイトには遠く及んでいない。また、「2ちゃんねる」にすら及んでいない。「インパクトって何だっただろうか?」。きっと多くの人はそんなこと気にもしていなかったに違いない。しかし時代を記録する観点から私はこのテーマについて書いてみようと思った。ところが案の定、実のあることが書けない。所詮そんなもんだった、というのがその答えなのか?。せめてはもう一度ぐらい見ておこうとインパクのサイトを訪れたら、「インパクって何だったんだ討議」というページがあった。当事者にも疑問があるのだろうか?
インパクホームページ:
http://www.inpaku.go.jp (残り期間わずか)
(秀)