田中真紀子代議士が自民党の党紀委員会で「党員資格停止2年」という処分を受けた。これは自民党が定めた8つの罰則の中で上から3番目に重いもの。しかも党員資格停止という処分は現職の国会議員としては初のことらしい。この間に選挙が行われるとなると彼女は自民党の公認を受けることが出来ない。処罰の対象となった出来事の1つは秘書の給与問題だった。使用人を搾取する、何とも資本主義的、自民党的だと思えた。
この処分が妥当であるかどうかは私には良く分からない。ただ、思ったよりも厳罰だと感じたことは事実だ。党員資格停止処分と言っても、その処分を受ける人によってダメージは違うだろう。ある人は、それこそさっさと他の党へ移籍してしまうことだろう(ただし、比例区で当選した議員は他党へ移ることが出来ない)。いくら無党派、市民派や草の根運動などを標榜しようとも、やがてその人たちもいずれかの政党に擦り寄っていく。何よりも党に所属していないと金銭的な面でのデメリットがとても大きいというのがこの国の政治のあり方と言えよう。
さて、問題はやはり選挙だ。衆議院が解散せず、このまま任期満了まで選挙が行われないとすると、その期間は残り2年4ヶ月。その間に総選挙がないとは考えにくい。小泉総理のことなら、自らの進退が窮まると最後は解散。総選挙に打って出そうな気もするし。彼女は無所属で立候補しても難なく当選を果たすであろう。自民党も対立候補を立てるわけにもいかないだろうし、そして公認してもらえるとしても勝ち目のない選挙に出馬しようという人もいないだろう。そして、もし与野党が伯仲するような選挙結果になった場合は、資格停止処分を解いて、彼女の復党を認めざるを得ないだろう。ひょっとすれば選挙前の復党もあり得ないとも言えない。
しかし、それはうまく彼女が復党を望んだときの話。これまで散々彼女の影響力を気にしすぎ、処罰が出来なかったと思いきやいきなりの厳罰。私があまりもの厳罰、と思ったのは、「真紀子新党旗揚げ」を予感したからである。しかし、マスコミが報じているところによると、彼女の力も相当に衰え、もはや新党を旗揚げするほどの力はないらしい。しかし、新党とまでも行かなくても、他の政党に移れば政界再編のキーパーソンとなり得るのは確かだ。たとえ無所属でも当選が確実なのだから、彼女にここらで一勝負してもらいたいものだ。
小泉総理の人気も支持率も低下し、それを当初支えた田中真紀子代議士も党から追い出されてしまった。加藤もムネオも国会を去り(後者はまだ辞めたわけではないが)、おまけに党ナンバー2の山崎幹事長は週刊誌でその変態振りを叩かれつづけている。かと言って、抵抗勢力と呼ばれる人々の巻き返しも見えてこない。政治がますます分かりにくくなっていく。
(秀)