米軍がバクダッドを制圧し、フセイン政権が崩壊したというニュースが届いた。テレビではフセイン像が引き倒されるシーンが何度も流されていた。まあ、印象的な構図であることは間違いにないが、その次のシーンに驚いた。倒れた像を足蹴、踏みつけるイラク国民。思わず笑ってしまった。
「ノー・サダム」や「アメリカ万歳」、「俺はアメリカ国民だ」などとカメラに話し掛けるイラク国民達。その一方で、略奪に奔走する人々。無政府状態とはこんな状態のことか、と思った。彼らの抵抗は何だったんだろう。あれほど強硬に大統領を支持していながら、実際にその政権が崩壊してしまうと手の平を返したようにこの有様である。正直と言えば確かにそうだが、それまでの彼らは演じていたのだろうか?。これが独裁政治、恐怖政治の実態なのだろうか?。
「裸の王様」ならぬ、「裸の大統領」。似たような人物がもう一人、極東の大陸の端の方にいたような。王様が市中に出て、国民達に抗戦を唱え、励ましていた姿は確かに服を着ていた。しかも軍服を。ところが王様が姿を消して、首都が攻め込まれた途端に国民は「王様は裸だ!」と言い出した。ついでに銅像を足蹴にして、踏みつける。リアルなおとぎ話だ。王様はその後、姿を現すことがあるのだろうか?。
(秀)