コラムのデパート 秀コラム

第1004話 ■ドラマ20年史

 ここ20年くらいのテレビドラマの歴史というか、動向・傾向について、大まかにまとめてみたい。まずそれより以前のテレビドラマというのは10数回で終わるようなものでなく、半年や一年単位でずっと放送されていた。今みたいに一人の脚本家が全ての回の本を書くわけでなく、複数でローテーションで書いていた。急な話の展開があるわけでなく、一話完結のスタイルが多かったのも、この脚本家が複数でまわしていたためだと私は推測している。そして内容もホームドラマといった、家族や家庭を軸にしたものが多かったような。

 それが多分20年位前からだと思うが、1クール12、3回の放送というのがじわじわと定着し出してきた。当時、ドラマにおいてはTBSが有力だった。「ふぞろいの林檎たち」、「金曜日の妻たちへ」、「毎度おさわがせします」、「うちの子にかぎって」、「パパはニュースキャスター」、などなど。それぞれ、記憶している人も多いことだろう。これらは好評により、その後、続編やシリーズものが作られた。そして大映テレビ制作の「不良少女と呼ばれて」、「ポニーテールは振り向かない」、「スクールウォーズ」といった、一連の不良ドラマやくさいドラマもこの時期のTBSのドラマ枠を支えていた。「スチュワーデス物語」もこの時期の大映テレビ制作ものとして忘れるわけにはいかない。

 そこにやがて、トレンディーブームという波がやってき、バラエティで成功したフジテレビがこの波に乗って、ドラマ分野においても台頭してくる。トレンディードラマは何もフジテレビに限ったものではなかったが、他局はどこかに陰の部分というか、メッセージ性を追求していたようだが、フジテレビの場合は局のイメージというか、ドラマにおいても軽薄な部分が多かった。世はまさにバブル経済期。イメージ先行と言うか、あまりにデフォルメしすぎで、おしゃれなマンションに住む主人公達にあまりリアル感を感じることはなかった。

 この頃から民放のほとんど全てのドラマが恋愛を軸に展開されるものになった。そしてその路線は約15年の間、変わることなく今も続いている。お茶の間で家族揃って見ていたからこそホームドラマが成り立っていたわけで、一人、部屋で見るホームドラマは果たしてどんな心理で見ていられるものだろうか?。「渡る世間は鬼ばかり」がホームドラマ最後の砦のような気がする。もちろん、私はそんなドラマ見ないけどね。

(秀)

モバイルバージョンを終了