世はツッコミの時代である。お笑いの世界では正当なボケとツッコミの喋くり漫才が劣勢となり、新しいスタイルのお笑いにボケというものはほとんど存在していない。それは一人でも二人でもツッコミなのである。
例えば、テツ&トモ。「なんでだろう?」と言いながら、突っ込んでいる。いつもここからも、「悲しいとき」と言いながら、突っ込み。新興の長井秀和も「間違いない!」と言って突っ込んでいる。はなわの芸風も同様。
「いつもここから」の新しいスタイル、「どけどけシリーズ」が最近私は好きだ。二人が暴走族の格好で、口でブルンブルンとエンジン音を真似しながら、何故かなまった口調で「○○って、言ってんじゃねえぞ、バカヤロ、コノヤロメ」と一方が言い、まず突っ込む。そして続いて相方が更にツッコミネタを披露する。「『亭主改造計画』って、喜んでんじゃねえぞ、バカヤロ、コノヤロメ」、「あんな髪型2度とセットできるわけねえだろう、バカヤロ、コノヤロメ」というのが最もお気に入り。但し、彼らのこのギャグは聞き取りにくいので、半分は何言っているのか分からない。要字幕スーパー。
相方のボケがない代わりに、彼らの突っ込む対象は世の中一般である。うまいボケの数がそもそも不足しているのか?。いや、世間一般を相手に突っ込む方が楽なのだろう。聞く側はネタに対する共通の前提があるため、掴みも早いし、一度受けたネタは他の場でも受ける確率が高い。
当コラムもほとんどが世間へのツッコミネタである。しかし、私の場合はそれだけではない。たまには妄想というボケ技も持っている。
(秀)