第1413話 ■エンタの功罪

 前日に引き続き、お笑い関連の話題を。今となって、毎週土曜日の夜、日本テレビで放送されている「エンタの神様」が相当面白くない。確かにこの番組は放送開始から多くのお笑い芸人を世に認知させていくことで多大なる貢献があった。そのため私も好んで毎週レコーダーに録画してまで欠かさず見ていたものだ。

 しかし、時間の都合から録画したものをそのまま見るのではなく、面白い芸人の部分だけ見て、あとは早送りして見るようになった。するとどうだろう。昨年の後半ぐらいから、早送りで見る芸人ばかりになっていた。

 その多くが「あるある」ネタだ。日常にありがちな状況を指摘し、それにツッコミを入れる。一人でもできるし、ネタづくりも比較的簡単だ。観客の反応も分かりやすいし、比較的安全な手法だ。そんなコマ切れのネタをそれぞれのスタイルやキャラクターに合わせて、ただ単に披露するだけ。ネタのつながりや全体の構成などない。また、最近はそのキャラクターにおいてまでオリジナリティがなくなってしまっている。ムーディー勝山を模した、ムード歌謡のあの女は何だ?。

 この番組の出演者は大きく2つに別れる。それは、他局の番組に出ている芸人とこの番組以外で見ることができない芸人だ。明らかに前者が面白い。また前者の中でも他局ではエンタでのキャラクターで同様のネタができない芸人もいる(やっくん、まちゃまちゃ)。噂では、出演者に相当の縛りをしているようだ。これでは人材が育たないし、出演者の質はますます下がる悪循環に陥ってしまっている。

 この番組のプロデューサーはお笑いブームを牽引してきたことで、相当に天狗になっているようだ。いや、王様かもしれない。しかし、それは裸の王様だ。こんな番組はもう終わって良いと思うのは私だけではないはずだ。

(秀)