ただいま、昭和ブームである。一口に昭和と言ってもここは30年代、40年代が対象だ。すなわち、日本が最も元気が良かった時代である。約40年という間隔も丁度いいのだろう。かと言って、例えば20年後に昭和50年代や60年代がブームになりそうな要素はちょっと見つからない。時代の勢いというのがやはり大事である。
しかしブームを支えている人々はかつての時代に生きて懐かしんでいる人ばかりではない。もっと若い人々が「懐かしい」と言って、このブームを楽しんでいるところが面白い。実際の体験はないものの、古いテレビ番組や映画で刷り込まれていた「記憶」が呼び起こされて、「懐かしい」という言葉になって出ているのだろう。しかし、突っ込みとして原体験があるかどうかはかなりの差を生むと思う。近く、この頃の邦画リバイバルブームが来ると私はみている。
何ゆえ昭和が懐かしいのか?。別に今の時代でなくてもよさそうだが、景気が悪く、閉塞感を感じている日常だからこそ、癒しの要素として元気な時代に思いを馳せる。バブル期のような時代には決して懐古的なブームは来ないと思う。それに実際はいろいろあろうとも、思い出は総じて良いものに置き換えられている。
原体験者にはいろいろと思い出す中で、ちょっとあの時代に忘れ物をしていたような気がしてくる。それはあやふやな記憶のせいかもしれない。大人になって今だったらできることなど当時では面白くないことだろう。けどそんなことを考えてしまう。忘れ物を全てクリアにすることなどできっこないが、それに近づいたり、確認したりすることが面白い。例えば私はそれを文字で書き記しておこうと思う。
(秀)