コラムのデパート 秀コラム

第1526話 ■根回し

 私は根回しやネゴというのがいかにも日本的でそこでエネルギーを消耗してしまうことが好きではないが、実際に根回しを怠って、痛い目にあったことは何度でもある。また、その順番を間違えてしまうとこじれてしまう。会社の中での打ち合わせというものはその半分が根回しだったりするのではなかろうか?。

 フジテレビの月9ドラマ「CHANGE」を見ていると、いかに根回しが重要であるかを思い知らされる。朝倉総理は官僚や党がまとめた公共事業バラマキ型の補正予算案を見直し、小児科医療対策を主軸に予算案の編成をやり直した。その補正予算案を閣議決定するにあたっては、異を唱える大臣たちに罷免をちらつかせてまで、全体一致の閣議決定を取り付けた。

 しかし、黒幕の神林官房長官が朝倉総理の動きに反発し、朝倉下ろしを画策する。主要な人間を総理から引き離すことと、補正予算案を衆議院本会議で否決し、総理の求心力を弱めるとともに、否決の責任を取らせようという魂胆だ。単純に見れば総理が正義であることは間違いないが、どうしてきちんと根回しをしておかなかったのか不思議で仕方がない。優秀な秘書官や補佐官がついていながら、誰一人として党や閣僚への根回しをやるでもなく、進言するでもなく、ただただ正面突破だけを考えている。実際は政治の世界こそ、根回しの世界ではないのか?。

 唯一の根回しと思えるのは、朝倉総理が野党革進党の代表と会って、小児科医療対策を柱とした補正予算案への衆議院本会議での賛成の約束を取り付けたぐらいだ。しかし、いくら小児科医療対策で意見が一致したところで、ドラマみたいにそうやすやすと政府案に野党が賛成するとは思えない。リアリティがない。

 そもそも1年生議員が総理総裁になる設定にリアリティがないと言われてしまえばそれまでだが。これから先の展開がちょっと気になる。

(秀)

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