別に仕事熱心というわけではなかろうが、年明け早々から通常国会が開幕し、今は第2次補正予算案をめぐる与野党の駆け引きの最中だ。既に衆議院での可決を終え、参議院に送られているが、これからが前途多難である。この補正予算案には話題の定額給付金の支給が盛り込まれている。それ以外の経済対策も含まれているだろうが、定額給付金以外の話は全く聞こえてこない。
定額給付金については国民の多くがその経済効果を疑問視していて、その実施に反対の意思を示しているが、それはこの施策の是々非々が論じられているというよりも、麻生総理に対する不支持の具体形と見ることができる。要は、「あいつのやることは何でも反対」といった感じだ。いや、消費税増税のための踏み絵と考え、それを踏むことを拒否しているのかも知れない。
しかし、ここにきて私が思うに、経済対策として公共事業に投資するくらいなら、バラマキだろうと、国民に広く給付して、個々が欲しいものを買って市場に金を落とす方が良いような気がする。だから、もし定額給付金が配布されたら、できるだけ早いタイミングで使ってしまわないといけない。自分だけ使わずに取っておこうなんて考えてはいけない。
さて、ところでこの定額給付金を含む第2次補正予算案だが、その成立が危ぶまれる。参議院では間違いなく否決される。それが再び衆議院に戻されて、与党は3分の2の賛成で再可決して成立させたいと考えているのだろうが、これが微妙なのだ。与党内でも総理を牽制する動きが見られた。10数人造反すれば3分の2による可決は無理だ。
衆議院の与党の多数議席は小泉元総理が郵政民営化の可否を問うて得たもので、それをこれ程支持率の低い麻生総理がそのまま利用できるというのは合点がいかない。もし、補正予算案が否決されるとなると、解散も急に現実のものとなる。補正予算の後には本予算と関連法案の審議が待っている。そこには2年後の消費税の増税について明記するかどうかが検討課題となる。
今の借金財政を考えれば、いずれにせよ消費税なりでそれを埋めていかなければならないのは間違いない。しかし、麻生総理はそれを明らかにするタイミングが悪かった。国民から強い支持を受けていながらも、相当のダメージを受けるような内容を、支持率は低いし、景気も悪い状態で発表してしまった。
本当は就任直後に衆議院を解散すると目されていた麻生総理だが、急な経済悪化でそれを先送りすることにした。かと言って、早急に有効な経済対策が実施されるでもなく、補正予算の成立も遅れている。皮肉にも、時間が経つほど情勢は総理に厳しいものになって行っている。
(秀)