第1641話 ■1万2千円に縛られすぎ

 定額給付金に財政的裏づけを与える補正予算の関連法案が可決となって、早いところではその翌日から定額給付金の支給を開始した。当然のことながら、給付金を受け取った人々の反応はいずれも好意的である。あれほど国民の大半が反対しておきながらも、実際に給付が決まるとなると、「いったい自分の所はいつもらえるんだ?」という気持ちになって、もらえるものをわざわざ拒否する人はほとんどいないだろう。

 その一方で、マスコミはこの給付金の使い道について、ビジネスチャンスとして行動を開始した企業の話題などを伝えている。1万2千円のズワイガニのセットや1万2千円の宿泊プランや旅行プランなどなど。確かに世間の人々は「定額給付金をもらったら何に使うか?」という問いに対して、高価な食事や旅行を挙げているらしい。

 けどね、実際の消費行動がそのようになるかどうかは分からない。そしてそれ以上に、1万2千円をそのままそっくり一発で消費してしまうことは少ないと思う。高価な食事も「ちょっと」高価な食事程度で、1万2千円の一部をそれに使えば十分で、残った金額はまた別のものや、次の食事の機会に使おうと考えるのではないか?。

 だから実際は、1回の支出に抵抗があまりなく、給付金で気持ちが豊かになっている、その金額を目指して商品作りをするのが良いのではなかろうか?。例えば5千円とか。せっかくの給付金を貯蓄にまわさず、消費に仕向けるにはこのような日常の生活パターンに根ざした消費を拡大していくのが確実性があって良いと思う。

 それと本来の景気対策として経済を刺激させるのならば、欲しくても我慢していたものを、1万2千円に自分の財布からの金を加えて購入することを期待する。それと、一人あたり1万2千円であるが、夫婦と子供2人(ともに18歳以下だとすると)の家庭での給付金の合計額は6万4千円になる。できればこれにいくらかの金を追加して、ものを買って欲しいものだ。例えばそれが地デジの液晶テレビとか。定額給付金で1万2千円という発想しかできないようでは、ビジネスチャンスを生かせないと思う。

 さて私は定額給付金の支給を見込んで、先日ハイビジョンビデオカメラを買った。これでもまだ家族全体の支給額には余りがあるので、それは食事とレジャーに使おうと思っている。

(秀)