もはやカメラと言えば、デジタルカメラの時代である。レンズ交換の可能な一眼レフカメラも、世の中に存在するカメラの数はまだアナログのそれが多いかもしれないが、新規に購入されていくそれはデジタルカメラばかりだ。一眼レフカメラの多くは今から20数年前にオートフォーカスを導入する際に、ボディとレンズの接合部分(マウントと言う)の形状を変更しているが、アナログからデジタルへの移行の際には、このマウントはいじられていないので、かつてのレンズが今のデジタルカメラでも使える。
但し、ちょっと、いや大いに気になる問題がある。世の多くのデジタル一眼レフカメラの受光部は旧来のアナログ一眼のフィルム面に比べて面積が小さい。このため、同じ焦点距離のレンズを付けてもデジタル一眼は画角が狭く、結果として、従来のアナログ一眼に比べて望遠になる。数値的には約1.6倍の焦点距離になる。例えば、従来の標準レンズが中望遠、広角レンズがほぼ標準レンズということになる。これは受光部分の面積を大きくするとコストが掛かるという理由による結果だ。よって、従来の手持ちのレンズがそのまま従来の条件で使えるというわけではない。
ここで私が気になるのは、「ライカ」である。かつてアナログカメラのフィルムサイズを定めたカメラだ。ライカの主たる商品はレンジファインダー機と言って、一眼レフカメラ以前に世の中の主流だったレンズ交換式のカメラだ。基本設計は50余年を超えても一貫して変わっていない。レンズについてはそれ以前のボディ規格のものもアダプターを使用すれば今でも使える。とりわけ、レンジファインダー機は構造上広角レンズに適しているため、広角レンズから標準レンズにかけてが多く今も流通している。
ライカも時流によるものか、今ではレンジファインダーでのデジタルカメラも作るようになった。ただ、受光部のサイズが他の一眼レフカメラの多くと同様にアナログのファイルサイズよりも小さくなっている。よって、交換レンズの焦点距離がこの場合、1.33倍になる。よってこれまでのレンズ資産がそのままの焦点距離で使用できない。ライカで重宝される、せっかくの広角系のレンズが標準レンズ並みになってしまう。
これが巷のカメラメーカーであれば私はそれほど声を荒げるつもりはないが、35ミリのフィルムサイズを定義し、ライカ判という言葉まで登場させたカメラメーカーの始祖である。もっとここの受光部サイズにこだわって欲しい。何しろ、60数万円もするカメラだ。コストの問題などで片付けて欲しくない。
もしライカが無理ならば、他のメーカーがやってくれても良い。今もライカと同じレンズが使えるレンジファインダーのデジタルカメラを生産しているエプソン。50万円でそんなカメラができたら、マーケットは限られるが、その中でバカ売れすると思う。それとかつてライカマウントのアナログカメラを生産していたコニカ(現コニカミノルタ)にも期待したいのだが、こちらはソニーにカメラ事業を売却してしまったからダメかな?。まあ、次のM9あたりまでもう少し待つとするか。
(秀)