第1356話 ■ライカ判

 デジタルカメラの普及に伴い、もうアナログ写真には戻れない感じの私である。いろいろと雰囲気や持ち味でアナログ写真を支持する人々がいるのは確かだが、それはかつてのCDかアナログレコードかといった話に近い。市場の多数は新しい技術の方を支持している。デジタルカメラは何よりもその手軽さが良い。自宅でプリントアウトできるし、それも数枚撮っただけでも可能。これがフィルムとなると1本撮り終わり、現像から戻ってくるまでその画像を拝むことができない。

 ついにライカもM8でデジタルカメラになったときには驚いた。しかしこれが時代の趨勢なのだ。というわけで、このM8が欲しい。けど、50数万円のボディにレンズまで買うことなど到底できない。こんな感じで私のようにデジタルのレンジファインダーカメラを欲しがっている人は結構いるのではないかと思うが、そのようなカメラは現在2機種しかなく、その1つがライカM8だ。もう一方はエプソンの国産機だが、やはりそれなりに値段が高い。

 一眼レフやレンジファインダーカメラはレンズ交換ができるのが魅力であって、ライカでは互換品なども含めて、古今東西数多くのレンズが今でも使用できる。しかし、1つ大きく困った点がある。デジカメの場合、受光部がフィルムサイズに比べると小さいため、同じレンズを使用したにしても、画角が狭く、焦点距離が長いレンズ、すなわち望遠レンズで撮った様になる。一般的にレンジファインダーカメラは広角を得意として、広角レンズを使用するケースが多いが、同じレンズが標準レンズぐらいになり、同じレンズとしての持ち味が生かせない。これはちょっと(いや、大いに)困ってしまう。

 一眼レフの場合もほとんど同様。確かにフィルムサイズと同じ受光部サイズを持った一眼レフカメラはあるが、結構高い。アナログからデジタルに移行するにあたって、これまでのレンズがこれまでと同じ条件でそのまま使用できるのが望ましいがそうではない。ライカは高いなりに、M8ではそこまでの対応をして欲しかった。アナログカメラの35ミリフィルム1コマのサイズはその元祖にあやかって、「ライカ判」なんて呼び方が残っている。デジカメでもそのまま「ライカ判」であって欲しかった。

(秀)