「タコ焼き、明石焼き 食べ放題800円」。果たしてこの表示に皆さんはどんな反応をするだろうか?。「確かにタコ焼きはうまくて好きだ。けど、800円掛けて好きなだけ食べたいわけでもない」、というのが多数の意見のなのかもしれない。しかし私は「二人前食べれば元が取れるなあ」、と反応して店の暖簾をくぐった。
場所は蒲田である。駅ビルのレストランフロアにちょいと前に登場した店だ。食べ放題にはいろいろと細かなルールが定められている。一人前は9個でこの単位でオーダーする。食べ残しは1個につき200円のペナルティ。制限時間は90分。これ以外にもいろいろ書かれているが、主要なところはこんな感じだ。
昼時にはまだちょっと早い時間で、結構店は空いている。オーダーをしてから焼き始めるシステムのようで、作り置きはしていない。このため若干待たされる。何もすることがないので、焼き手の様子を観察するが、どうも素人っぽい。焼き上がった玉を鉄板からスプーンで取り出し、皿に盛り付けている姿を初めて見た。これはいただけない。
間もなく自分のところにもやってきた。タコ焼き二人前に明石焼き一人前。玉は小さめで、結構柔らかい。タコ焼きを口にしてみたら、中からタコが飛び出してきた。しかし、タコ以外に何の具も入っていない。ネギも紅生姜も揚げ玉すら入っていないようだ。それは明石焼きを口に入れてみて、はっきり分かった。ここのタコ焼きと明石焼きは同じもので、ソースを掛けるか、出汁で食べるかの違いでしかなかった。
タコ焼き好きの私としては、こんなものをタコ焼きと認めるわけにはいかない。明石焼きとしては正しいと思うので、これでは明石焼きにソースを掛けて食べているに過ぎない。けど、せっかくなのでもう一皿タコ焼きを追加注文して、腹を満たすことにした。
こうして不満はあるものの、四人前を平らげた。食べ放題でない単品では一人前が五百円と書かれているので、二千円分を腹におさめたことになる。しかし満足感が今ひとつない。値段や量の如何に関わらず、そもそもそのタコ焼きに満足していないわけだ。話のネタにはなったが、再びこの店に足を運ぶことはもうないだろう。
(秀)