このタイトルで、ある人は感涙にむせぶだろうが、それ以外の人にはちょっと「?」かもしれない。「電子ブロック」とは学研が販売元の小学校高学年を対象にした電子知育玩具である。ブロックの内部に配線とトランジスタやコンデンサなどの電気部品を配し、それらをケースに組み入れることで、ラジオや警報機が簡単にできてしまうというおもちゃである。このような電気細工は一般的に基盤に半田ゴテで電気部品を半田付けして作るものだが、電子ブロックが凄いのは半田ゴテもいらないし、文字通りブロックだから簡単に組み立てたり、くずしたりが繰り返しできるところである。
この電子ブロックの広告媒体は学研の「学習」と「科学」だけだったらしい。これらを購読していない自分にこの情報をもたらしてくれたのは、これら2誌を購読し、既に数年前から電子ブロックも持っていた、お大尽な友達だった。私が買ったのは小六のときで、「EX-30」という型式でその名の通り、30種類の電子実験ができるという物であった。30種類と言っても似たようなものが結構多く、「ラジオ」なんかトランジスタの数や回路構造が異なったバリエーションがたくさん紹介されていた。価格は確か6,000円ぐらい(資料によると、発売当初は5,400円)だったと記憶している。グレードとしては下から2番目の物でちょっと寂しかった。ただ、親切なことにこのEXシリーズには拡張キットが別売されており、後から上位機種と同等にするために拡張部分だけのブロックなどの部品やマニュアルが数種類用意されていた。当時、150種類の実験に対応した、EX-150(同13,000円)相当までの拡張を夢見たりもしたが、そのテンションもいつも間にか萎えてしまっていた。そして、どこに行ったのか(おそらく捨てた)、大事にしていたはずの電子ブロックは我が家から消えていた。
インターネットというのは本当に便利な物である。欲しい物があればとりあえず検索してみる価値がある。検索エンジンで「電子ブロック」と入力して、いとも簡単に検索出来た。調べによると電子ブロックは昭和63年で販売を終了し、そのときの最高グレードは「EX-181」(同17,400円)であった。インターネットで私が見つけた、「OVNI」という名のそのショップでは残り僅かということだが、新品のEX-150(26,800円:OVNIでの売価、税別)とEX-120(23,000円:同)が入手可能である。そして私の手元には現在OVNIで買ったEX-150がある。ちょっと高かったけど、子供の頃の金銭感覚に比べれば結構安い買い物だったような気がする。かと言って、今頃熱中して遊んでいるわけではなく、私の電子ブロックは新たな主人(長男:小1)の成長を待っている。
参考文献:「日曜研究家」VOL.9
日曜研究社(平成9年8月発行)