第1338話 ■電子工作キット

 ちょっと正式な商品名が思い浮かばない。いくつか思い当たる名前でググってみたが、それらしいものがヒットしなかった。

 私が小学生の高学年の時に街の家電屋の入り口の脇にその電子工作キットシリーズが展示されていた。その数30種あまり。それぞれが同じプラスチックのケースに必要となる電子部品が納められ、それに説明書が付いている。電子部品の種類や数で値段の幅はあるが、おおむね千円くらいではなかっただろうか?。そのキットはこんな感じだった。電子オルゴール、電子ルーレット、水位報知器、電子カナリヤ、発光フラッシャー、などなど。

 その展示コーナーには完成見本が数多く並んでいた。プラスチックのパッケージ自体がその工作品の外装となる。スイッチを押すと音が鳴ったり、光ったりする。一通り全部のボタンを押してみるのが子供の感覚である。

 「夏休みの宿題はこれで行こう!」と思ったことは何度もあるが、結局思いとどまった。材料も作り方も一緒にパッケージングされていては、プラモデルと同じだ、と思ったからだ。キットの名称が付いた、パッケージの外装がいっそうそう思わせる。しかし、作る過程は半田ゴテを用いるなど、プラモデルに比べると難易度は高い。

 結局、我が家には半田ゴテがないということで宿題はさておき、これらのキットを手にすることはなかった。ちょうどその頃私は電子ブロックの方に興味を示し、作ったらおしまい、のキットにやや不満をいただいていたのかも知れない。

(秀)