コラムのデパート 秀コラム

第1824話 ■日産劇場

 ちょっとメディアからの受け売りで恐縮だが、忘れないように書いておこうと思う。三菱自工の燃費不正問題についてである。あわや三菱自工は外資等に売却、吸収されるのではないかと危惧されたが、事態は急転直下、協業先で今回の被害者であるはずの日産自動車が手を差し伸べて、再興へのスタートを切ることが出来た。日産自動車、良い人。ゴーンさん、良い人、と多くの人に印象付けられたのではなかろうか?

 ちょっと振り返ってみよう。今回の燃費不正問題が明らかになった理由は、三菱自工が日産ブランドで生産していた軽自動車の燃費の計測結果がおかしいと日産が指摘してきたということだった。誰が見ても、三菱自工が悪者で日産が被害者という構図に見えた。これは間違いない。三菱自工の株価は一気に約半額まで急落した。今度ばかりは、三菱グループからの救済も難しいのではないかという憶測が、株価の低下に拍車を掛けた感じもする。グループで支援しようとなったら、一時的かもしれないが、そのグループ会社の株価が低下していたに違いない。

 そんな感じから数日後、日産が三菱自工に補償を求めることでの交渉かと思ったら、日産が三菱自工に第三者割当株を買い取ることで出資し、筆頭株主になるという発表が行われた。ゴーン氏の強気の態度が印象的だった。

 さて、ここでもう一度別の立ち位置から振り返ってみよう。日産の出資が決まって三菱自工の株価は反転に転じた。「あの、株価が下がった時に買っておけば良かった」と私でさえ思った。いや、ちょっと待て。悪いのが三菱自工であることは間違いないが、一連の動きの引き金を引いたのは、日産だった。急に三菱自工を買おうとしたわけでなく、ずっと狙っていたとしたら。株価が下がったところで話を持っていけば、これで買収金額は安く買い叩ける。そして安くなるための引き金を引いたのが、日産だった。

 何者かの筋書きを感じる。もちろん日産側の。世間的には、被害者でありながら、救済に手を差し伸べた様に見えているかもしれないが、私はそうは見ていない。燃費の不正を暴くことで、株価を下げることができる。そして株価が下がりきった状態で、会社(株)を買う。これって株取引として問題ないのだろうか?。お互い上場しているパブリックカンパニーである。恐るべき、日産劇場。自作自演か?。

(秀)

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