NHKの朝の連ドラ「とと姉ちゃん」の快進撃が続いている。いろいろと主婦向けの雑誌はあるだろうが、大手の出版社ではなく、主人公が家族や周りの人々に支えられながら、強く生きていく姿が実にこの枠のドラマのフォーマットに合致しているようだ。加えて、「暮しの手帖」という雑誌がそこそこの認知度を有しているので、主人公の認知度はさておき、視聴者向けの入りやすさとしてはプラス材料だろう。
ところでこの「暮しの手帖」はドラマ上、「あなたの暮らし」というタイトルで登場している。高度経済成長に合わせて登場してきた各種電化製品などの製品試験で読者の関心や支持を得て、人気雑誌に成長していく過程がドラマとして展開されている。当初からこの雑誌は発行者の書きたいこと、読者が知りたいことを公正に伝えるために広告を載せないことを基調としていた。一度、経営難から料理学校の広告を掲載し、唐沢寿明演じる編集長と仲違いする事もあったが、その後は元に戻っている。
製品試験を雑誌の目玉にするためには、広告不掲載は大前提だと思う。それに比べると現在あまたある雑誌では収入の少なくない部分が広告収入で賄われ、評価レポートなどについても、機材の提供(貸出)を受け、誰の方を向いてるんだろうという記事も多い。これらの雑誌はそもそも雑誌を見た人がそこに掲載されている商品を買ってくれることを暗に目指していることを我々は知っておいた方が良いだろう。
で、この広告不掲載の方針に注目してみると改めてNHK的だなあと思った。「スポンサーを設けず、受信料で賄っていますよ」、って。まさかそんな事情でこの話のドラマ化が決まったとは思えないが、邪推でもそう思ってしまうと、ちょっと手放しでは喜んでいられなくなった。もちろん高畑充希は何も悪くない。
(秀)