第1409話 ■無料漫画雑誌

 首都圏を中心とした話だが、今年の頭頃から無料の週刊漫画雑誌が発行され、駅などで配られるようになった。毎週火曜日の朝晩に手配りしていた。そして、ここのところ見ないなあ、と思っていたら、今月に休刊になってしまっていた。「コミック・ガンボ」という名の雑誌だ。しかし休刊とは名ばかりで、休刊の翌日に出版社が事実上の倒産となってしまったため、廃刊に等しい。

 体裁は中綴じの一般に市販されている青年向け漫画雑誌と同じで、その体裁からはちゃんとした漫画雑誌だった。最初見たときは「これがタダ?」とちょっと驚いたりもした。フリーペーパーということで広告料を中心に、コミックス出版時の売上利益を加えた形のビジネスモデルで展開されたが、一年もたずに力尽きてしまった。

 別にこのビジネスモデルが悪かったとは思わない。ただ、掲載されている漫画の質が悪すぎた。市販されている雑誌に比べると素人っぽい。一部有名な漫画家の作品を掲載したりもしたようだが、全体的に市販の漫画雑誌に掲載できるレベルではなかった。休刊の理由として「広告が思ったほど獲得できなかったから」と伝えられているが、広告が取れないには更なる理由があり、広告を取る「営業力」以前に、良い雑誌を生み出す「編集力」が足りなかったと私は思う。編集者もほぼ素人だったらしい。

 無料だからと、本質をおろそかにしてはいけない。メルマガだってそうだ。他山の石、他山の石。自戒の念を込め、こんな雑誌があったことを書き残しておこう。

(秀)