ちょっとタイミングを逸した感もあるが、今回は交通違反もみ消し事件について語りたい。最初あの事件が報道されたとき、折りしも新潟県警であったため、「また、新潟県警か」と思う一方、犯罪であるのはもちろんだが、こんなことでも逮捕者が出るというところで、新任の県警本部長が綱紀粛正ぶりを広く世間にアピールするためのパフォーマンスにも見えた。今回の逮捕劇は「交通違反をもみ消してもらったという話を聞いた」という住民からのたれこみに始まったらしい。
とまあ、ここまでが一般に報道されている範囲での話である。しかし、「何故、あの議員が狙われたのか?」という部分では、「連立内閣を批判していたため、刺された」と伝える週刊誌もあった。元国家公安委員長とインパクトもこの上ない(逮捕されたのは私設秘書であるが)。一方、「週刊ポスト」では、今回の逮捕劇は国会議員への警察の反抗と見るべき記事が掲載されていた。例のカラ監察事件をはじめ、ストーカー事件や「てるくはのる」事件での失態、さらには警察官の様々な不祥事が国会で追求され、これに対する改善策が討議されているが、今回のもみ消し事件で逮捕者が出た途端に、そのトーンが鈍ってしまった。これに対しポスト誌は、「これ以上追求すると、そちらにも被害者が出ますよ」と、警察サイドが議員達に圧力を掛ける策だった、と説明する。
ある週刊誌では「これで逮捕していたら、警察官は10分の1、国会議員は一人もいなくなる」と揶揄している。交通違反のもみ消しが一般的に行われているであろうと、誰もが思っている。私も「親が警察職員で、学生のときにもみ消して貰ったよ」という人を直接知っている。この他にも巷にはいろいろと噂がある。「ピーポくん(警視庁のマスコット)のアクセサリーを付けていると警察関係だと思って見逃してくれる」、「人命救助などで表彰された人は見逃して貰える」など。テレビのドキュメント番組で「警察24時」みたいなものをよくやっているが、あの中でこんなシーンが必ず出てくる。「お巡りさん、堪忍したってな」。飲酒検問に引っかかった運転手が警官に頼み込んでいる。「堪忍してくれ言われて、堪忍してたら警察はいらん!」と警官が返しているが、あの警官も一片の曇りもなく、そう答えているかは疑わしい。