コラムのデパート 秀コラム

第587話 ■遅れて来たアイドル

 松浦亜弥。彼女のポジションは微妙である。「モーニング娘。」の妹分として、同じつんくがプロデュースするアイドル歌手である。「モー娘。」に入ればそれなりに人気が出るであろう。少なくとも新たに加わった4人よりは良いと思う。にもかかわらず、彼女はピンのアイドルだし、「モー娘。」に比べるとテレビなどへの露出も極めて少ない。それなりの素材を持ちながら、現状に甘んじている不遇さが、微妙なポジションというわけだ。先般のシャッフルユニット「三人祭り」のメンバーであったが、やはり露出は少なかった。認知度もあの3人(石川、加護、松浦)の中では最も低いはず。

 そんな彼女の3枚目のシングル「LOVE涙色」が5日にリリースされた。一言で言うと、80年代のテイストを持った曲である。詞の中に「メール」というかつて(80年代)なかった単語が出て来るが、曲は80年代のアイドル全盛期の感じを持った曲になっている。アレンジ(特に、後半サビの繰り返し前のギターソロ)もまさにそんな感じ。

 松浦亜弥、彼女は遅れて来たアイドルだ。80年代のアイドルを彷彿させる感じがある。特に彼女について詳しく知っているわけではないので、単に新曲のイメージだけで判断しているに過ぎないが、つんくもそのあたりを狙っているような気がする。初めてこの曲を聴いたのは、先月の「モー娘。」メンバー追加オーディションの放送で、レッスン曲として候補者が歌っていたものだった。サビの部分が候補者毎に何度も流され、すっかり刷り込まれてしまった。あれは「松浦亜弥新曲サブリミナル番組」だったかもしれない。この曲は良い線行きそうな気がする。

 新曲発売日の会社の帰りにCDショップをのぞいたら、2軒で既に売り切れ。あのオーディション番組でのサブリミナル効果が出たのであろうか?。どんな人が買っているのだろう?。彼女と同年代の男性か?、「モー娘。」も好きな少女達か?、それとも80年代のアイドルテイストを懐かしんでいる私達の世代か?。3軒目でようやく手にできた。カウンターで「ポスター付きますけど、お付けしますか?」と聞かれた。もちろん、「付けて下さい」。そう答えた時の私は10代の少年の様な気分であった。

(秀)

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