先日の日朝首脳会談に対する、国内の反応がちょっと分かりにくい。一部マスコミでは、政権の危機にもつながる首相の責任論が持ち出されていると小泉総理に対する逆風を報じているが、世論調査では必ずしも積極的ではないものの、首相支持と肯定的な受け止め方をしている人の方が多い。奇しくも拉致された人々の安否について先走って楽観的な誤報を流してしまったメディアが先の会談の成果に対して否定的な情報を流している。
拉致問題に関しては国民の多くが不満を持っているのは当然のことで、それは私も同様である。しかし、それ以上に両国間の関係が今後好転するとともに、将来的な安全保障について道筋をつけることになった会談として、世論は受け止めているようだ。小泉総理だからできた、交渉が決裂したところで、拉致された人々の安否は変わらない、といったところだろうか?。
被害者の家族の無念はいかばかりかと、画面で彼らの姿を見ると胸が痛くなる。今週は小泉総理よりもあの家族の方がテレビに映っている時間が長くなるかもしれない。しかし、その感情が分からなくもないが、あまりにも感情的に「国交正常化交渉開始決定の撤回」を求めたり、安否を告知した官房長官の対応に「人間的でない」と矛先を向ける姿を見ていると今度は別の意味で哀れに思えてくる。
「政府に求める」と言って、彼らはマスコミに向けて話している。その先の国民に、世論に訴えかけているつもりなのだろう。それに対して世論は同情はするものの、会談の成果まで帳消しにするほどとは判断しなかった。あまりにも感情的に訴える被害者家族の姿を見ているとつらくなるので、このニュースが始まると私はチャンネルを切り替えるようになってしまった。マスコミが彼らにカメラを向けるのもそれだけの話題性がこの瞬間にあるからで、しばらくするとまたタマちゃんを追いかけているかもしれない。
(秀)