第1130話 ■小泉君の言い分

 イラクでの邦人3人の拉致事件。ニュースには軍事評論家や新聞の論説委員、それにどこかの大学の教授とかがコメンテータとして登場してくるが、「相手がどういう組織か?」、「人質救出の可能性?」、「政府の取るべき対応策?」などといった、肝心なところがどうもはっきりしない。全く意味のない、時間潰しの使い方しかしていない。

 また、報道としての中立性をあまりにも欠いているような気がしてならない。人命優先、政府批判の一辺倒。直接そう言わなくても、被害者の家族の様子を流し、その一方で冷淡な政府の事務的な対応の様子を流す。何気に見ていれば、政府が悪者、自衛隊の派遣自体が悪かったんだ、と世の多くの人々は思ってしまうだろう。「報道ステーション」では古館が政府を批判して吠えていた。

 問題は拉致されたのが民間人ということである。現地の治安に対する認識は果たして十分だっただろうか?。渡航禁止地域に立ち入った彼らの判断や責任は不問にされたままで良いのか?。少なくとも彼らは政府の意志によって現地に派遣されたわけではなく、自らの意志で現地に来ていたはず。

 きっと総理も官房長官もそう言いたいに違いない。しかし、ことがことだけそんなことを言うわけにはいかない。せめてもの表現が「自衛隊を撤退させる理由がない」という言葉であり、その行間から私は前述の意味を感じ取っている。人命優先を今頃になって言うのなら、何故家族は彼らを止めなかったのか?。自衛隊がイラクに派遣されたから彼らが被害を受けたというのは論理のすり替えで、自衛隊が派遣されていなくても、彼らが同じように拉致され身代金を要求されていた可能性は残る。

 家族の悲痛な会見をニュースを見ているのはつらいが、一緒に見ていた小6の息子に「お前がこんなめに遭ってもお父さんは助けないからな」と言った。そもそも私は今回の自衛隊のイラク派遣には反対であったし、今もその考えは変わっていない。

(秀)