いつ頃からのことだろう、「普通に○○」という言葉が普通に(?)使われるようになった。「普通においしい」といった感じ。「おいしい」と「普通においしい」の差は何だろうか?。できればこの微妙な感じをデジタルな数字で表現できないものかと、Webでの投票でその把握を試行したことがある。あいにくサンプル数が少なすぎて客観的なデータとして扱うには難しいが、とりあえずのところ、100点満点中60点という回答が最も多く、37%の人からの投票を得た。僅差で80点が32%だった(原稿執筆時点)。詳細は、http://donokurai.com/ にて。現在も投稿可能。
「普通に○○」という言葉は、普通でない状況を想定し、それに反した状態であった場合に発せられる言葉のようだ。従来であれば、「思ったよりも○○」という言葉がそれこそ普通に使用されていたはずだ。一旦ハードルを下げた状態での評価を想定していたが、それを超えた状態・結果ということになろう。それでも、「普通においしい」は単なる「おいしい」に比べると、やや劣った感がある。
一方、「標準」という言葉もわかりにくい。車などの仕様においての「標準」、それに対する言葉は「オプション」。オプションを選ぶ人が過半数であったら、どっちが普通と言うべきかわからない。かつて、一眼レフカメラには標準レンズというのがあって、人間の目の画角に近いからということ意味もあって、そういう呼び名だった。「標準」と言うと、「その金額に含まれています」という感覚があるが、基本的に標準レンズであろうと、別売だった。今ではズームレンズが安くなったので、こちらが標準レンズの様になっている。
「普通に」が普通でない場合も多い。例えばパソコンを使用していて、何か変な症状が起きた場合にヘルプを求められることがある。「何かやった?」、「直前にどんな操作をした?」と聞くと、その多くで「普通に操作していた」と返ってくる。何が普通なのかわからない。だいたい何かをやらかしていて、それに気が付かないのか、それを隠そうとしているのか、「普通」と言ってしまっている。
というわけで、我が家では「普通」という言葉を極力使わないようにしてみようとしたが、意外に言葉につまり、ダンマリとなってしまった。「普通」という言葉がないと、普通の会話も難しい。もう笑うしかない。
(秀)