エイプリル・フールの今日、全国で3,200万人の人が「嘘をついて誰かを騙してやろう」と思い、7,050万人の人が「騙されまい」と気をつけているものの、このうちの40%の人と、エイプリル・フールに無関心であったり、うっかり忘れていた人の合計4,824万人がまんまと騙されてしまった。もちろん、嘘である。
エイプリル・フールなんかもういいかな?、って感じがする。だから気を取り直して、「日本映画も結構良いじゃない」、という作品の話を一つ。タイトルは「四月物語」。主演は松たか子。大学の進学のために北海道から上京して来た女性の物語である。その大学を選んだ基準、アパートを決めた基準が高校のときに憧れていた先輩(田辺誠一)に会うためでしかない。
冒頭、桜の花びらが散る中をトラックが走り、彼女が引っ越して来るシーンから始まる。新しき生活、しかも先輩に会えるかもしれないという期待感が彼女の嬉々とした表情で表現されている。彼女の身の回りは新鮮なものであふれている。その日常がリアルに描かれている。桜の花びらが散るシーン、そして後半は雨の中に開く彼女の赤い傘。非常に美しい映像である。正味60数分と冗長的な部分も少ない。
憧れの先輩とは彼がバイトをしている本屋で出会える。好きな人と会った瞬間のそのドキドキ感、そのときの感情をあなたはまだ覚えているだろうか?。この映画の見どころはまさにここにある。そこを楽しむべし。春はそんな季節。
(秀)