第727話 ■嘘つきの文化

 日本国憲法第41条。「国会は、国権の最高機関であって…」。読者諸氏ぐらいであればこの条文は誰でも知っていることだろう。ところがこの国会が今や国の最高の嘘つきの集まりと成り下がっている。いつの間にやら他の騒ぎで注目されなくなって来たが、鈴木議員の疑惑問題は何ら解決していない。嘘をついた女性議員はそれ故、職を追われた。それだったら嘘をつくな。いや、そもそも悪いことをするな。離党した元与党幹事長も少なからず嘘をついているはず。そのボスも彼に引導を渡せないのは「構造改革」の実施に対する嘘への後ろめたさがあるからか?。

 世の中、嘘だらけである。映画好きでマッチョな会長の金儲け話は出資法違反で摘発を受けたが、要は詐欺だろう。同様の話は沖縄でもあったなあ。こんなご時世に年利20%の投資先などあるはずもないし、同じような投資にからむ被害事件はこれまでに何度も繰り返し報道されてきた。それにも関わらずこんな事件が繰り返し起きてしまう。嘘のような本当の話。

 最近はエイプリル・フールとなるとマスコミでも嘘をつくようになった。悪意のない、洒落のつもりだろうがセンスがまったくダメだ。「きんさん、ぎんさんは実は三つ子だった」と二人の写真から作った合成写真で「どうさん」なる人を紹介していた。こんな感じの記事を見開き2ページにわたって掲載している大新聞があった。このな記事を書いて、この人たちは面白いのだろうか?。読んでいて面白いと思った人がどれぐらいいたのだろうか?。あまりもバカバカしいので、見せしめのために毎年収集していくといいかも。

 「嘘つきは泥棒のはじまり」という教育を受けていながら、一方で「嘘も方便」なんて言葉が存在する。矛盾するからにはいずれかが嘘ということになる。嘘をつくことを宗教的に戒められている人々の習慣である「エイプリル・フール」を宗教観が希薄な我々日本人が真似したところに無理がある。彼らには「エイプリル・フール」、嘘をつくことは「ハレ」であり、この日だけに許された行為であるところに意味がある。それに比べ、我々にとっての嘘は「ケ」、すなわち日常に成り下がっている。政治家といい、詐欺事件といい、ついでに新聞社のセンスといい、この国はやはりおかしい。「エイプリル・フール」、この日を日本においても「ハレ」の日としたいのならば、せめてこの日は「嘘をついてはいけない日」とすべきだと思う。

(秀)