ちょっと前の話になるが、映画「日本沈没」を公開初日に見に行った。この映画は面白い。演技やストーリーはさておき、CG技術だけでも十分楽しめる。私は今回それを見ただけでも満足だった。逆に実写のシーンがCGに負けていて残念だった。それなりの数のエキストラを使ってのシーンは相当手間隙掛けてのことだろうが、リアルさを出すにはさらに倍の数のエキストラがそれぞれのシーンに欲しかった。いっそ、エキストラもCGにしてしまえば良かろうが、コストとの関係で実写を選んだのだろうか?。
それにパニック感が足りない。連日列島全土で大地震が起き、多くの土地が失われていくのに対し、その困難振りの表現が弱い。人々は我先に海外に逃げようとするだろうし、治安も維持できない状態なのだろうが、エキストラの数は少なく、スーパーから商品が盗まれるくらいの騒ぎしか起きないのは変だ。
さて、主演の草なぎ剛と柴咲コウであるが、二人の関係はあまりにも清く、ウソ臭い。草なぎが死を覚悟して深海探査機へと移動する際に二人の別れのシーンがある。ここでの柴咲コウの演技は見事だ。特に目の動きが良い。ここで久保田利伸らが歌う主題歌が流れて場は盛り上がるが、それから後の演出がダメ。そこで泣き崩れて欲しかったが、気丈にも彼女はバイクにまたがってその場を去っていった。そこから先は草なぎの和製「アルマゲドン」へと話は展開される。自らの命を犠牲に多くの人命を救うために深海探査機に乗り込む。
まあ、こんな感じでいちいち指摘したら多くのツッコミどころがあるのは確かだが、日本映画のスケールや技術を見直すには意義ある作品だと思う。
(秀)