会社の帰りにふらりと立ち寄った店で、送別会の集団に出くわした。その職場の女性が定年退職で職場を去るという話だった。女性が会社で定年まで勤め上げるというケースはなかなか少ないのではなかろうか?。よくよく聞き耳を立てていると、私が勤めている会社の親会社の一行だった。
雇用延長などの手段で会社に残ってほしいと、多くの後輩たちに退職を惜しまれていた。しかし、この女性の真意は彼女の挨拶の中にあった。確かに65歳まではこれまでとほとんどなく変わりなく体が動く。しかしそれを過ぎると体が衰えていくと、先輩たちに聞いたらしい。だからそれまでは働くという選択もあるだろう。しかし、彼女はこの定年からの5年間が大切で、その時間を自分のために使おうと決めたそうだ。
私たちの時期には定年も延長されて、60歳以降も働いているのが普通になっているかもしれない。まだ住宅ローンも残っているだろうし。しかし、寿命が延びたところで、体の自由が利いて好き勝手に動ける時間がそのまま長くなったわけでもなかろう。所詮は老いてからの時間が長く残るだけだと思う。
この女性の場合、夫も同じ会社で働いていて、二人分の退職金と年金収入があって、それなりの生活が見込めるのであろう。確かに仕事を生き甲斐とする生き方もあるだろうが、このように自分のために時間を使うことに私は大賛成だ。リタイアした翌日から何もすることなく、ゴロゴロとした生活を送ることはどうしても避けたい。趣味を持つことは、老後の時間を有意義に過ごす上でも重要だ。
(秀)