「それでは判決を言い渡します。主文は最後にして、先に判決理由から言います。時間が掛かりますから、被告人は席に戻って聞いていてください」。普通、刑事裁判の判決は主文を先に読み上げ、それから判決理由へと続く。冒頭の例は極刑となる場合に取られるスタイルらしいが、目の当たりにしたことは今のところない。
さて、聞かれていることに対して、的確な答えを返さない人がいる。「いつ?」と聞いているのに、何やら理由や状況の説明を始める。あまりこの説明もうまいものではなく、どこか的外れで核心のないまま、納得のいくものではないことがほとんどだ。例え理由がどうであれ、「いつ?」や「いくら?」が重要だからまずそれを聞きたい。それで、納得がいかない場合などにその理由を問い質すようなやり取りになり、このスタイルが脳の思考に合致しているように思うからだ。
自分にとっての不具合を直接話すのではなく、まず理由というか、言い訳から始める人は自己の防御本能がそうしているのだろう。まるで怒られているときの子どもみたいだ。いつもこうやって、誤魔化してやり過ごしているんだろうな、と思う。時間やそのコストに関する感覚が甘い人に多いような気がする。私はこのような人とは波長が合わないので、一緒に仕事をしてもうまくいかない。今は、そのような人との関わりはお断りしている。
私の経験上、聞かれていることに的確な答えを返さない人が満足のいくような仕事や成果を提供してくれたことはない。個人の性格からそのように(無意識に)振る舞っている場合だけでなく、組織における立場からそのように振る舞っている場合もあるようだが、いずれにせよ繰り返され、ストレスとなる。最近は求めていない突然始まる理由説明にはこちらから遮って、「だから、いつ?」と、聞きたいことを明確にした質問を繰り返し、相手にストレスを与え、反撃するようにした。
「いつ?」という問いに対して、ようやく答えが聞き出せたとして、仮にそれが「1週間」だとして、その1週間に間に合わないことがほとんどだ。次の理由説明が必要になる。だったら、もうちょっとうまく説得できるようになりそうなものだが、もちろんうまくなることはない。残念な人だから。
(秀)