週刊少年漫画雑誌を発売日前に入手し、その内容をネットで公開していたとして、国内で初めての逮捕者が出た。報道によると、このサイトが広告収入として得た金銭は3億円超と伝えていた。盗んだもので荒稼ぎをしていた、とんでもない話だ。同様のネタバレサイトと言われる、雑誌コンテンツの違法公開サイトはこれまでも幾つかあって、その内の幾つかは既に閉鎖していた。
「ネタバレサイト」とは、その名称の雰囲気から、ドラマや映画、漫画などの結末などを文字で書き起こした程度のものだと思っていたら、とんでもない違法サイトだった。いわゆる「ネタバレサイト」などという言い方に、利用している側の罪の意識を希薄化させているような気がしている。利用者は、逮捕や閉鎖で「見られなくなって、残念」なんて思ったりしている人が多いのではなかろうか。そうでないと、これほどの報酬を得られるほどのアクセスを稼ぐのはなかなか難しい。
これらのサイトの収入源となるのは、広告収入ということだろうが、そこに広告会社が仲介するとなった場合、広告会社はそのサイトがコンプライアンス上問題がないのかを監視する責任があると思う。月々に相当額の規模で広告費を払っているからにはそこがどんなサイトであるのかを都度確認する必要があるだろうし、そうして違法なサイトの資金源を断っていけば、労力に見合わないとして、この様な大々的なサイト等はなくなっていくことだろう。また、広告の出稿業者もアクセスが集まれば何でも良いということではなく、出稿先のサイトを監視する責任があると思う。
音楽教室での楽曲使用に関する著作権料の支払い等について。音楽教室側が、JASRACを相手取り、請求の正当性がない判断を求めて裁判を起こした。ただ、私としてはどうも両者の意見が噛み合っていない。対立しているのではなく、音楽教室側の言い分が、私にはやや屁理屈に聞こえる。「著作物使用料が徴収されることは、音楽教室に大きなダメージを与えるものであり、音楽を学ぶ機会の減少につながる重大な問題。音楽教師や演奏家も育たず音楽文化の発展に影響を及ぼす」というのが、原告の主張。
私として、被告のJASRACが言うように、年間721億円以上を稼いでおきながら、教室運営事業者がタダで楽曲を使用していることがポイントだと思う。その著作権料を利益を削って支払うのか、生徒からの負担に転嫁させるのかはさておき、お金を取ると音楽文化の発展に影響を及ぼす、などというのは論理のすり替えだ。著作権者の利益が金銭的にも保護されない方が、よほど音楽文化の発展に影響を及ぼす。教室での練習等が公衆に向けての演奏となるかどうかが法的な論点だとは思うが、タダ乗りの是非が判断されることにもなろう。
著作権者は印税などで潤っているからと言って、著作者の権利を盗んだ形で不正に金銭を稼いだり、タダ乗りして稼いだりすることはイカン。JASRACの体質や運営のあり方等に関する不満や実際の徴収率の割合の高低は別問題。全体として著作権を尊重する社会にしていかないと、コンテンツの質の劣化やコピペによる問題サイトの弊害などが今後も出てくる。その上で、新たなデジタル社会の著作権関連のあるべき姿を検討すべし。
(秀)