四月から家電リサイクル法が施行されるとあって、現在、大手家電量販店を中心にいわゆる白モノ家電の売れ行きが良いらしい。今なら廃家電を無料で引き取るキャンペーンなどをやっているが、これが四月からは冷蔵庫で四、六〇〇円、エアコンなら三、五〇〇円掛かることになる。中にはまだまだ使える家電品をこの機会に買い換えているものもあり、この世間の行動がリサイクル社会の創設を目指す法の精神に反すると指摘している新聞もあった。全くその通りだ。
リサイクルというのは一般的に道徳的には善である。しかしこの道徳観のために盲目的に廃品を回収することが必ずしも効果的でないことを最近雑誌で知った。その具体例はペットボトルである。ペットボトルは四〇グラムの石油でできているそうだが、これをリサイクルするには一五〇グラムの石油が必要となるらしい。また、ペットボトルを原料にTシャツを作るとなると売値が三、〇〇〇円ぐらいになるらしい。これではまるでどこかの高速道路、空港。タイムリーな話題としては第三セクターのレジャー施設の様な収支計算になってしまう。はたしてこれをリサイクルと呼ぶに値するのか?。お金を余計に出して再生品を買うのが良いことをしたように思えるが、実は余計なエネルギーまでも消費してしまってはいないだろうか?。
実際にリサイクルに値する資源かどうかを単純に見分ける方法は回収業者がわざわざ引き取りに来るかどうかであるらしい。それ以外は単純にゴミか採算が合わないものということになる。リサイクル法の原理はメーカーに対し、長寿命かつ再生しやすい原材料の使用を求め、消費者には廃棄に必要な費用を負担させるものである。建前はそれで良いかも知らない。しかし現実にはリサイクルという耳当たりの良い、道徳的な観念の中でペットボトルの例のような様々な誤解があるし、これから先不法投棄が問題となるだろう。また、それ以上に廃棄費用の算定基準やその使われ道が適正であるか気になる。何だか新しい不正な利権の温床となりそうな気がしてならない。
(秀)