週末にとある技能検定試験を受けた。場所は御茶ノ水の某大学を借りてである。さすがに東京の大学はすごい。キャンパスがない。校舎はビルであるし、その表は即道路。明治大学はかつても面影なく、「Liberty Tower」というビルに姿を変えていてたいそう驚いた。試験らしい試験を受けるのは久しぶりのことだ。会社の昇格試験のときを思い出す。余談だが、そのとき筆記用具を忘れた。試験官の「筆記用具を忘れた人いますか?」との問いに手を挙げたことがある。消しゴム付き鉛筆を貸して貰った。 それでもあがってしまえば、結果オーライである。
さて、会場には同じ受験者が100名程いた。試験開始は10時からだが、それに先立ち係員からの注意事項の伝達がある。その説明の最中に10時を過ぎてしまった。このときの私の時計は電波時計だ。きっと係員の時計は数分遅れていたらしい。彼は予定通りのごとく説明を終わるとこう言った。「私の時計で10時になりましたら始めます」。「お前の時計は今何時だ!」、と心の中で突っ込んでやった。
正確な時刻から約2分遅れてのスタート。回答はマークシート方式である。同じ答えが連続するとちょっと不安になって来たりする。またマスを塗りつづけると何かの絵が見えてくるうんじゃないかと思えたりする。パズルでそんなやつがあるだろう。制限時間60分の割には結構問題数が多い。何とか最後までたどり着き、ほっと一息。しかし残り時間はあとわずか。気分を切り替え、再度見直しをしようかというそのとき、表紙の注意書きに目が止まった。「回答欄は77番まで使用します。それ以外をマークしても無効です」。自分にマークシートを見ると、塗りつぶしているのは71番まで。慌てて問題用紙をひっくり返すと裏表紙のページにも問題が!。あせって問題を考えながら、時計を見る。正確な残り時間が気になる。「お前の時計は今何時なんだ?」、と言葉にならない声を挙げた。
(秀)