カメラ市場でちょっと変わった現象が起きている。デジタルカメラの普及でいわゆる銀塩フィルムカメラの市場は小さくなって行きながらも、レンジファインダーという分野のマニアなカメラがここにいたってかなり熱い。そもそもこの市場はそれほど大きくなく、バカあたりするようなカメラではない(、いや、作りもしっかりしていて高価であるため、バカあたりしようがない)が、高価であっても買ってくれる根強いファンに支持されている。しかも彼らは、「1台持っているから、おしまい」なんてこともない。
レンジファインダーカメラとは、一眼レフとは違い、コンパクトカメラのような形をしてレンズ交換が可能なカメラである。そもそもはライカに始まるこの市場、技術的な要素は既に数十年の昔に成熟してしまい、「昔のカメラの方が良かった」と言われることもしばしばあるが、逆に50年前のレンズですら今もこれらのカメラで使用できる楽しみもある。そんなレンジファインダーカメラの新製品が相次いで発売された。話題の中心はライカM7か?。個人的には国産のBESSA-R2というカメラの方が気になる。先発のヘキサーRFもこれに加わって、この分野のマニアはドキドキしていることだろう。
最近のカメラに比べるとピント合わせは必要だし、露出もカメラ任せとはいかない。おまけにでかい。こんな不便さを感じながら撮るところにこれらのカメラの価値や楽しみが存在するのであろう。デジタルカメラでパシャパシャ撮って、「失敗すれば消せるし」なって思っている人が多くなったり、パソコンソフトでのトリミングや修正も自在にできてしまうと、写真芸術文化が衰退してしまう様な気がしてならない。不便なことは贅沢であることの一つの例だ。
(秀)