MD(ミニディスク)が活躍したのは、90年代の半ばから約10年間で、これまでのカセットテープに比べると、文字通り小さいことと使い勝手の気軽さに惚れ込んで、我が家ではコンポもウォークマンもカーコンポも全てMDに一掃してしまった。そんなMDコンポも今となってはほとんどが生産を終了し、既存の機種についても修理保証の期限を過ぎて、もはや部品も無く、修理が困難な状態になっている。自身、MD付きのコンポやラジMD(ラジカセのカセット部分がMDで、カセットがない)を持ってはいるものの、いずれも正常に動かず、手元にあるMDが聞けない状態で、けどMDの山を目の当たりにして、「もう1度くらいは聴いておきたいなあ~」という日々が続いていた。

 そんな中、ハードオフでMD付きミニコンポが2,700円(税込み)という格安で出ていたので、それを買い求めた。「ジャンク品」ながら、CDもMDも再生でき、リモコンがないという理由でこの価格だった様だ。加えて、今で言う、ワイドFMの周波数帯もカバーされていて、昼間にAMラジオを聴くことが多い自分には、ノイズレスのFMステレオも同時に手に入って、二重に喜んでいる。

 私の手元にあるMDの大半は、CDアルバムをそのままダビングしたものだ。MDはCDよりもコンパクトであるし、殻に入っているから扱いも楽とあって、手持ちのCDやレンタルしてきたCDをMDにダビングして、聴くことが多かった。また、当時はネットでダウンロードして、なんてまだない時代だったから、シングルCDをレンタルして、それをMDに録音し、例えば通勤中などに聴くということを繰り返していた。そんなMDにシールを貼り付けて書いたタイトルが「Single Collection」だった。30枚超がこの「Single Collection」というタイトルで手元にある。

 まあ、このようなMDが当時の状況を思い起こすに貴重な史料となり得るが、やはり私にとっては「Single Collection」の方が何倍も貴重で、実際に聴いてみないと中身がわからないため、どうしても再生する機械の入手を考えていた。手元にあるMDを聴くとか、データファイルとしてHDDに保存し直すとなると今のうちに状態の良い中古品を買うなどの必要がある。

 私が「Single Collection」を貴重に思う理由は、それが音の地層となっているからだ。前後の曲のつながりなどから、「この曲が流行っていた頃には、この曲も流行ってたんだ!」という、時間を置いたが故の再発見がある。また、季節感とか、揃っていたり、いなかったり。実際に聴いてみないとどんな曲が録音されているのかわからない、20年前からのまさに、音楽のタイムカプセルだ。10年一昔ならば、これはふた昔。実に時の経つのは早いなあと思う一方、劣化しないままの音が今も聴けることに感謝。カセットテープでは、なかなかこうはいかない。

(秀)