第412話 ■おたふく風邪

 学校を休むととても退屈だった。鍵っ子だった私は一人家に残され、じっとしているしかない。「おはようこどもショー」と「カリキュラマシーン」が終わると、子供向けのテレビ番組は終わり、奥様向けのワイドショーが始まる。そこでチャンネルをNHK教育に切替えると、とりあえず子供向けの番組を見ることができる。「できるかな?」、「○年生の理科」、「はたらくおじさん」、などなど。

 やがて、学校が終わる時刻からしばらくすると、近所のクラスメイトが宿題のプリントと給食のパンを届けてくれる。デザートが持ち帰れるものだった場合(みかんなど)はそれも届けてくれる。先日、長男が学校を休んだ時は四人もぞろぞろと、やって来た。チップを求めるポーターのように荷物を手渡してもなかなか帰ろうとしない彼らに、買い置きの「うまい棒」を一つずつあげた。私にも覚えがある。自分達の時も決まってお菓子をくれる家にはすすんで届け役を引き受けたもんだ。

 基本的にこの届け物は帰り道の途中や家が近所の友達が届けてくれるが、欠席の理由によってはそのお遣い者の選抜が行われる。おたふく風邪、風疹の類がそうである。「既にかかったことがある人」と、先生が挙手を求める。けど、届け物とは別に「うつして!」と、母親同士が連絡を取り合い、遊びに連れて来るようなことがあることを最近知った。大きくなってからだと大変らしいし。特に男性は。