かつて、マガジンハウス社が刊行している雑誌に「ダカーポ」という隔週刊の雑誌があった。A5サイズで平綴じの小ぶりな体裁で、水曜日の発売だったので、駅のKIOSKで同日発売の「週刊SPA!」と合わせて購入し、電車に乗り込んで行った。まだスマホもない時代だったから、通勤途中にはこの様な雑誌や文庫本などを読むのが行き帰りの常のことだった。

 「ダカーポ」は時事ネタやエッセイなどで構成されていて、今で言えばインターネットのサイトに有りがちなコンテンツの雑誌版と言える。そのために、インターネットの普及によりその需要を奪われ、19年前に休刊になっていた。ただ、ちゃんとした雑誌であるため、どこかの未確認な情報を転載したり、まとめただけのオリジナリティーのないようなものではなかった。調べてみると、今ではWebサイトやスマホ用のメディアとして「dacapo」という名で復活していた。雑誌ならでは雰囲気や感触がないのは残念だが、とりあえずは嬉しい。

 さて、雑誌時代の話。ちょっとタイトルがウル覚え(正しくは、うろ覚え)であるが、「クレーム爺さんが行く!」とかいうタイトルの連載コーナーがあった。毎回、この爺さんが企業などを相手に、電話などでクレームを付け、その一連の顛末をドキュメント風に見開きページで構成されたコーナーだった。至極真っ当なことを言っているわけで、読み手としても溜飲が下がるような文章で書かれ、私が楽しみにしていたコーナーの一つであった。

 これは雑誌で、編集の目を通して出版されているものであるため、通用していたものと思う。まだ、ブログやSNSなどがなく、個人が意見等をインターネットで発表するようなインフラが無い時代だったから成立していたような気がする。これを今、個人で真似すると、一方的な情報から、信憑性や公平性を欠いたものとなったり、炎上を誘発することになる。

 いや、現にそんな情報がインターネットには溢れてしまっている。客観性に乏しく、単なる自分の気晴らしに、一方的な情報を流しているばかり。個人的な恨みつらみといった、ネガティブな気に満ちている。また、嘘のニュースをでっち上げ、広告収入で金儲けをしようと企んだ奴もいる(結局、儲からずむしろ赤字だったらしい)。こんな時ほど、件のクレーム爺さんにこのようなサイトを一喝して貰いたい気持ちになる。悪貨が良貨を駆逐しまった場合の状況がとても気になっている。

(秀)