ヤマト運輸をはじめ、宅配事業者の危機が報じられている。その一つはそもそもの負荷増加となった、物量そのものの増加に起因していて、これに再配達による現場の負担が加わった形である。労働条件が悪いことから、慢性的な人手不足といった悪循環に陥っている。給与引き上げ以前に、引受数量の抑制を会社に対し、同社の労働組合が求めたことには、まず驚かされた。

 槍玉という訳ではないが、話題に挙げられているのはアマゾンである。一旦便利さを手に入れてしまうと、今度はそれをなくしてしまうことが難しくなる。豊作貧乏となったヤマト運輸を救うために、「じゃあ、通販でモノを買うのは止めようか」とは、ならない。

 アマゾンの物流については、数年前に佐川急便が放り出し(表現は冷淡だが、悪意はない。悪しからず)その分をヤマト運輸が請け負った形のようだ。利益が出ないことを理由に佐川が断ったのだろうから、企業体の構造がいくら違っていようとも、同様の問題が起きることは想像できていたに違いない。創業者の精神を貫いたことは表向き立派であるが、負担は現場に押し付けられてしまっていた。

 かと言って、その分、佐川急便の現場が楽になったか、というとそういうことはなく、配達数量は変わらず、むしろ配送エリアが広くなってしまったらしい。会社の損益が改善したかどうかは未確認。

 近所にヤマトの配送車が止まっていて、アマゾンのあの段ボール箱を抱えたドライバーが走って行く。あの箱が必要以上に大きいのは、効率化のためらしい。「もっと小さくても良いのに」と思う人も多いはず。ただ、もし箱がコンパクトなものになって、仮にこれまでの2倍の量が配送車に詰め込める状態を想像してみたら、配達員の更なる苦労を考えて怖くなってしまった。

(秀)