第118話 ■探偵ごっこ
昔テレビで見ていた探偵は格好良く、警察にも一目置かれ、捜査に協力したりしていたが、実際のところは浮気調査や家出人の捜査というのが多いようだ。ドラマの中では依頼により調査したネタで相手をゆすったり、相手に買収されたりする、およそ正義とは対極にいる探偵なんてのも出て来る。許認可もなく、勝手に始められる商売だからだろうか?。明智探偵がいないのは残念だが、怪人二十面相もいないから、まぁいいか。
少年探偵団というのは江戸川乱歩の作品の中に怪人二十面相と戦う少年達として描かれているが、最初にラジオドラマとして放送された時から子供達には大人気だったらしい。僕等がテレビで見たのは最初のラジオから数えて、何度目のドラマ化なのかは分からないが、昭和51年に日本テレビで放送されていたものを記憶している。怪人二十面相を団時郎(帰って来たウルトラマン)、小林少年をキャロライン洋子の兄貴(芸名は忘れた。黒沢なんとかだったと思う)が演じていたが、残りの配役は明智探偵も含めて忘れてしまった。けど、主題歌は今でも歌える(もちろん、「ぼ、ぼ、僕等は少年探偵団」ではない。これは昭和35年版)。
テレビ放送が始まると早速、探偵ごっこが流行った。雑誌の付録に「探偵手帳」なるものが付いてきたりもした。変装の仕方は子供騙しでしかないし、尾行の仕方を読んで実際に行動し、事件に巻き込まれたらどうするんだろうと今となっては思えたりする。探偵と言えば7つ道具である。真似て作ったりもしてみたが、当時はサンスター文具の「スパイセット」を買うのが主流となった。確か、500円ぐらいだったと思う。指紋の採集セットや水に溶ける紙、片方のインクで書いた紙をもう一方のインクでなぞることで文字が現れるマジックペンなどが入っていた。
道具も揃ったところで探偵ごっこの開始である。最初は秘密基地探し。「秘密」と言っておきながら誰かが裏切って基地を教えてしまうと楽しさのボルテージは一気に萎えてしまった。基地ごっこに飽きたら、尾行へと進む。クラスの女の子の後をつけたり、家を探しに行ったり。今風に言えば「ストーカー」ということだけどね。
※書棚を探していたら、「スパイセット」の載った雑誌があった。正しくは480円だった。
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