第145話 ■テレビが変わる
テレビにおける近々のビッグイベントと言えば、デジタル放送への移行を挙げることができる。しかしそれはテレビの使い方が変わるか、という観点で見ればそれ程影響を及ぼすものではない。ところが、それ以上に使い方を大きく変えるような機能がこれから先、テレビに付加されるような気がして来た。最近、パソコン雑誌、特にインターネット系の雑誌で「(インターネット)常時接続」の話題を取り上げ、特集を組んだりというケースがある。NTTが地域限定というものの、家庭をターゲットにした常時接続サービスを開始する。しばらくすれば競合も参入し、壮絶な価格競争が展開されることだろう。
「パソコンが家庭に入って行く過程で、その大部分はテレビに統合されて行く」というのが私の考えである。かつて「インターネットテレビ」というものが発売されたが、大方の予想通り売れなかった。9,600bpsのモデムで電話代を掛けてまで見たいコンテンツがなかったせいだと思う。さて、そこで常時接続の話に戻るが、テレビがインターネット端末となり、常時接続で何ができるかを考えてみることにしよう。まず第一段階は常時接続のメール端末。家族それぞれが、メールをコミュニケーションのツールとして使いだすだろう。第二段階でインタラクティブな番組コンテンツの登場。番組と同時進行で関連Webが表示されたり、電話を掛けずに通販ができるようになるだろう。そして、第三段階はオンデマンドによるコンテンツの受信と言ったところだろうか?。
第一段階をもっと詳しく検討してみよう。テレビを見ていたら、ピコピコとランプが点灯し、メールの到着を知らせてくれる、ってな具合だ。家族の手前、やばいメールが届いては気まずい人もいるかもしれない。使う側としては「キーボードが苦手な人も音声認識が進んで入力もかなり便利になるだろう」という意見を聞いた。確かに技術は進んで、認識もスムーズに行くだろう。けど、そんな人はメールなんか使わずに、電話で済ませてしまうと思う。電話の方が「あたたかい」ということをよく聞くが、後に残る「文字」の良さもあるんだ、送る側にも受け取る側にも。一対多とのコミュニケーションとなると、電話には限界がある。この辺の意識がどう作用するかで、技術の進歩や市場に大きな影響を与えるのは確かである。そのときまで、「秀コラム」は続くだろうか?。
-
前の記事
第144話 ■お手軽の可能性 1999.11.15
-
次の記事
第146話 ■林檎哲学 1999.11.17