第1696話 ■FAXというメディア
最近FAXって奴を、会社でもほとんど使わなくなってしまった。メールの浸透によるところが大きいが、意外にも家庭へのFAXの普及率は高く、あるクイズ番組では50%を超えていたと思う。けどいったい、どんな使い方をしているのだろうか?。
我が家にもFAXはあるがほとんど使用していない。インクジェットプリンタにFAXが付いた複合機で、使わないときは電源を落としている。だから、受話器を取った途端に、「ピー、ヒョロヒョロ」と、突然FAXが送られてきても困ってしまうが、そんなこともないくらい、FAXは廃れてしまっている。いずれ、「昔、FAXって機械があったんだよねー」なんて、むかし話になってしまうかもしれない。
FAXと言えば、業務用からスタートしていって、次第に個人の利用も想定して、いくつかの試みが行われた。コンビニにFAXが設置され、自宅にFAXがない人向けの利用を促したのだろうが、これはあまり利用されなかったようだ。何しろ相手があって初めて成り立つメディアであるから。
続いて、「伝言FAX」。ボックスの中に(実際には大型コンピュータのディスクの中に)あらかじめFAX原稿を登録しておいて、これを利用者が受信するサービスとして現れた。Q2ダイヤルでその情報料を課金するスタイルなどもあり、当時私はラジオ番組の会報みたいなものを自宅のFAXから受信していた。丸まった感熱紙がニョロニョロと繰り出されてくるのを見ると、「届いてる、届いてる」と、わくわくしたもんだ。もう15年以上も前の話なのだが。
今では紙ではなく、ファイルをメールに添付することでことが足りる。わざわざ紙に印刷してそれをFAXで送っていたかと思うと、結構手間なことだった。そして、会報のような媒体はPDFファイルでWebサイトから利用者がファイルをダウンロードするスタイルに変化した。
今では電話回線ではなく、インターネット回線を使用してFAXを送るものまで登場しているが、オペレーションは従来までと変わらない。コスト的には魅力なのかもしれないが、メールに慣れてしまうと、そっちが便利だ。何しろ席を立つことなく処理できるのが良い。結局、最初から紙でしか存在しない情報ならFAXということなのだろうが、文書の多くをパソコンで作成するようになったから、FAXは廃れてしまった。
(秀)
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