第1838話 ■格闘技世界一決定戦の記憶を整理する

 モハメド・アリの死去にあたり、どうしても確認して書いておきたいことがあった。残念ながら、私はモハメドアリのボクサーとしての凄さを知らない。アントニオ猪木と異種格闘技戦で戦った姿しか知らず、猪木というフィルターを通してから知る姿しかない。

 振り返れば、当コラムの1220話において、この異種格闘技戦について書いていた。その時に記憶が曖昧だとしていたものに、アントニオ猪木が立ち上がって戦ったのか?、という疑問があった。ずっと寝転がって蹴りを繰り出すばかりの印象のある猪木だったが、結局立ち上がって攻撃を仕掛けたのかどうだったのかを確認しておきたかった。

 まず、おさらいをすると、アントニオ猪木対モハメド・アリの「格闘技世界一決定戦」が開催されたのは、1976年(昭和51年)6月26日だった。会場は日本武道館。この日は土曜日で、当時小学4年生の私は新聞係で、毎週土曜日にこの新聞を書いていて、この日も友人の家で、この作業をやりながら、友人たちと一緒に観戦した。夜ではなく、土曜の午後に試合をし、テレビ中継された。

 さて、今回私の記憶を確認する手段であるが、この対戦はDVDになっていた。この一戦のDVDではなく、いくつかのオムニバスだが、この試合の模様が収録されていた。スーパーとか駅で販売されている、廉価版DVDの売り場で買ったはずだが、あいにく、いつ、どこで買ったかは覚えていない。封は開けてあったが、ちゃんと見た記憶もない。

 ダイジェスト版となって、わずか数分の幾つかのシーンしか収録されていないが、試合開始早々の猪木は立って、アリを威嚇していた。そして、間もなく寝てからの蹴り攻撃に専念し、数回立ち上がったシーンはあったが、毎ラウンド、ほとんどを寝てからの蹴り攻撃ばっかりだったようだ。

 そして、最終15ラウンドの終了間際、猪木は立ち上がって、蹴りを中心とした攻撃を仕掛けていたが、その状態でラウンドは時間切れとなって終了してしまった。結果は引き分け。盛んに話題になっておきながら、実際の戦いの場では、あまり積極的でない戦いぶりと合わせて、多くの人が不満を持ったのではなかろうか?。とりあえず、記憶の整理はできた。

(秀)