第1967話 ■その選択に「希望」はあるか?

 かつてこんなことがあった。デック(ディジタルイクイップメント)、コンパック、HP。いずれもアメリカのコンピュータの会社だ(った)。デックはコンパックと合併し、コンパックが会社として残った。やがて、コンパックはHPと合併し、HPが会社として残った。本社がそのようになったタイミングで、日本国内でも統合が行われた。実は結構狭い世界で、デックを辞めてコンパックに転職した人が、後にまた元の同僚と同じ会社になったという話。先に転職していた方が、人事的に、有利だったのかどうかは、知らない。

 九十年代の新党ブームによる世間交代で五十五年体制が終わった。それ以来でも、どれだけの新党ができたか?。たとえ書き上げても、うまくその順番に並べられるか自信がない。とりあえず、直近のものだけでも、民主党と維新が合併し、民進党ができた。そして、民進党が「希望の党」に飲み込まれようとしている。袂を分かち、先に離党した者たちとまた同じ政党で共に戦う同志となった。

 実質的に民進党は解党。しかし、前原代表は思い切った選択をしたと思う。他の代表だったらば、せいぜい共産党と手を組んで、党勢の衰退を座して待つだけだっただろう。そして消滅。民進党の両院議員総会への出席者の表情は明るかったと報道が伝えていた。まるで、潰れそうな会社の社員の再就職先を決めてきた社長のようだ。もちろん、反対の者もあったであろう。リベラルや左派の人々は合流を断られるという。まさに、小が大を飲み込んだ。

 果たして、前原代表に、合流を求める民進党の代議士に、そして何よりも、非自民の受け皿を探している有権者に、それぞれの選択に「希望」はあるのだろうか?。そして、就任からわずか1年余りで都知事の椅子を投げ出す選択はあるのか?。俄然面白くなってきた。

(秀)